「工場のルール」で一番先に頭に浮かぶのは、5S又は整理、整頓、清掃、だと言う人が多いと思います。もちろん、食品工場でも同じです。
では、食品と機械工業の工場では5Sの目的が少し違うことをご存じでしょうか?
今回の記事では、食品と機械工業での5Sの違いについてご理解いただければと思います。
食品製造業の整頓について
(食品や医療品のように「衛生管理」が必要な製造業以外を、ここでは仮に一般製造業(一般工場)と呼びます。)
必要なものがすぐに取り出せる状態だけではない。定位置管理だけではない、定位置管理の裏側にある本当の目的とは何でしょうか。
- 先入れ先出しができるか?
- 原材料と製品が近くにないか?
- 洗剤と食品が近くにないか?
- アレルギー物質が含まれるものと、含まれないものが近くにないか?
- 食品は外部からの汚染を受けないか?(蓋がしっかりしまっているか?)
一般工場での整頓の目的は、「作業の効率化を図る」だとおもいますが、食品工場での整頓は、使いたい物が使いたい時に取り出せて、さらに、「安全で衛生的な状態」で保管できているかが問題となります。
もちろん作業効率も良くなりますが、目的は食品を安全に衛生的に保管し安全に使うことです。だからいくら効率が良いと言っても、加熱済みの最終製品と加熱前の原材料を近くに置くことはできないのです。
アレルゲンのコンタミの可能性
また、食品表示の原材料に「乳」が含まれていない製品の原材料の近くに、脱脂粉乳など飛散しやすい物を置くべきではありません。
例えば、もち米粉とでんぷんしか使っていない白玉団子と、脱脂粉乳を使っているプリンを製造しているとします。
もちろん白玉団子の食品表示には「乳」の文字はありません。
でも、もち米粉も脱脂粉乳も同じ「粉体」だから、同じ棚にきちっと定位置管理します。
一般工場ではこれで「OK」かもしれませんが、食品工場では「注意!」となります。
もち米粉に脱脂粉乳が混入する危険性があるからです。
アレルギー物質の混入の危険があるのです。
5Sにおける器具の保管
また、一般工場であれば、同じ工具は同じ場所に置くことができますが、食品工場ではまた注意が必要です。
まな板を考えてみましょう。
ここに、まな板が二つあり、一つは生の魚をさばくために使用します。もう一方は加熱済みの魚フライを切るために使っています。
食品工場の場合、この二つは分けて管理する必要があります。
少なくとも2つの区別が付くように印を付けます。
そして、加熱済み用まな板は紫外線殺菌庫に入れる必要があるかもしれません。
微生物に汚染されないように管理しなければなりません。
食品工場の5Sの目的
このように、一般工場の5Sと食品工場の5Sは目的が違うのです。
食品工場の5Sの目的は「安全な食品を作るため」です。
食品工場で5Sを実施する場合は、「安全な食品を作るため」という目的を意識して活動することが大切です。
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