皆さん、こんにちは。
キュー・アンド・シー事業部の山元です。
紅葉も散り始め、北海道はあっという間に冬の訪れを感じる季節となりました。
気温が下がれば、食中毒事故も起きにくくなります。
少し前の話ではなりますが、老舗駅弁メーカーによる大きな食中毒が起きてしまいました。
駅弁から「黄色ブドウ球菌」「セレウス菌」が検出されていたようです。
今回はこの食中毒菌について簡単にご紹介していきます。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、手や顔に常在する食中毒菌で、切り傷や火傷などには高確率で存在する食中毒菌です。
この黄色ブドウ球菌は、加熱に弱く75℃1分間の加熱でやっつけることができます。
しかしながら、せっかく加熱調理した食材に菌を付けてしまったら?
あるいは、加熱しない食材に付けてしまったら?
それらを、常温で長時間放置してしまったら?
黄色ブドウ球菌は、どんどん増殖し、「エンテロトキシン」という毒素を作り出します。
この毒素は、加熱に強く、通常の加熱では破壊できません。
加熱すれば黄色ブドウ球菌は死にますが、毒素は残り、食中毒が起きてしまいます。
黄色ブドウ球菌の予防は、まず、工場や厨房に入る前に、手指に怪我がないか確認することです。
怪我がある場合には、絆創膏を撒き、手洗いを行い、アルコール消毒をし、衛生手袋を着用してください。
出来れば、食材を扱わない、梱包作業などに携わるのが良いでしょう。
暑いと汗をかき、マスクや帽子を直すこともあります。
無意識に触れた手で食材を扱うとどうなりますでしょうか?
もし顔やマスクに触れてしまったら、すぐに手洗いを手袋の交換をしましょう。
セレウス菌
続いて、「セレウス菌」についてです。
こちらは、嘔吐型・毒素型と2種類のタイプが存在しますが、日本では多くが嘔吐型です。
セレウス菌は、土壌や水、ホコリなど自然環境のあらゆる場所に存在する食中毒菌です。
そのため、農産物、海産物、あらゆるものが原因食となる可能性があります。
黄色ブドウ球菌は、熱に弱いですが、セレウス菌は熱に強く耐熱性芽胞菌と呼ばれています。
アルコールや塩素などの薬剤にも耐性があり、管理が難しい食中毒菌です。
こちらは75℃1分間の加熱では、やっつけることが出来ず、缶詰を作るようなレトルト殺菌機でようやくやっつけることができます。
食中毒事故の予防・対策
それでは、この食中毒菌による事故を予防するためには、どうしたらよいでしょうか?
答えは簡単です。「温度管理」の徹底です。
セレウス菌は、加熱などストレスを感じると芽胞(殻)を作り、身を守ります。
加熱調理が終了し、温度が下がり20~40℃と増殖しやすい温度になると、殻を破り、増殖していき、事故が起きる危険が高まります。
では、どのように防ぐのか
この20~40℃の温度帯を出来るだけ素早く、下げる必要があります。
食品工場では、急速凍結庫や冷却槽があり、すばやく温度を下げることができます。
飲食店では、そこまでの設備がないので、「加熱後、冷蔵庫にすぐ入れよう」とお考えではありませんか?
冷蔵庫の温度が高くなり、なかなか冷えず、結果、事故が起きる可能性があります。
そのため、そこまでの設備が整っていない場合には、シンクに水を貯め、流水で冷やすとよいでしょう。
溜め水での冷却は、すぐにぬるくなり、温度が下がらず、やはり事故が起きてしまいます。
氷水で冷却も可能ですが、氷がなくならないように注意しておく必要があります。
このように温度管理を徹底していれば、セレウス菌による食中毒も怖くありません。
今回ご紹介した予防方法は、食中毒予防の3原則(つけない・増やさない・やっつける)に則った予防方法です。
これ以外にも当然、原料をよく洗浄する、器具を洗浄するなども当然重要です。
改めてブログを読んでくださった皆様の工場、飲食店、ご家庭で食中毒予防に取り組んでいただければ幸いです。
キュー・アンド・シー事業部 山元
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